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【OEM食品とは何か?】製造の仕組みとメリット・デメリット、そして依頼時に注意すべきポイントまで徹底解説

食品業界において近年注目を集めている「OEM食品」という言葉をご存知でしょうか。スーパーやコンビニの棚に並ぶ商品、またオンラインショップで販売されている加工食品の中には、実はOEMという仕組みで作られたものが数多く存在しています。見た目はそのブランド独自の商品に見えても、実際には他社が製造したものであるというケースは少なくありません。

このOEMという仕組みは、食品業界に限らず広く使われていますが、特に食の分野では消費者の信頼や安全性、衛生基準などが問われるため、OEMの選定や活用には高い専門性と慎重さが求められます。

本記事では、OEM食品の基本的な定義から、その仕組み、メリット・デメリット、そして実際にOEMを依頼する際の注意点までを包括的に解説していきます。これから食品業界に参入を考えている方や、新たなブランドを立ち上げようとしている方にとって、OEM食品の知識はビジネス展開において非常に重要な要素となることでしょう。

OEM食品とはどういう意味か?その定義と背景

まず最初に「OEM」という言葉の意味を確認しておきましょう。OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で、直訳すると「元々の機器製造業者」となります。これだけでは食品と結びつきにくい印象を受けるかもしれませんが、要は「他社ブランドの商品を製造すること」を指しています。

食品業界におけるOEMは、依頼主(ブランドオーナー)が商品の企画やマーケティング、販売を担当し、実際の製造工程を別の専門業者に委託するという形を取ります。つまり、依頼主は製造設備や製造ノウハウを持っていなくても、自社ブランドの食品を展開することが可能になるのです。

このような仕組みが普及した背景には、食品業界の多様化と消費者ニーズの細分化があります。健康志向の高まり、アレルギー対応食品の需要、時短調理への関心など、多種多様なニーズに応えるためには、フレキシブルかつスピーディな商品開発が求められます。OEMはまさにそのニーズに応える形で、非常に効率的な手段として活用されているのです。

OEM食品の製造フローと関係者の役割分担

OEM食品の製造は、いくつかのステップを経て進められます。最初のステップは商品企画です。依頼主が「こういった味の商品を作りたい」「このターゲット層に向けた食品を出したい」といった方向性を定め、そのイメージを製造側に伝えます。

次に製造業者はそのイメージに基づいて試作品を開発します。レシピ開発からパッケージングの提案までを行うこともあり、食品OEMの現場では製造業者側が高い開発力を持っているケースも多く見られます。この段階で試作品の試食、改良、再試作といったプロセスを繰り返し、最終的な製品仕様が決まります。

その後、本生産に入ります。製造工場では衛生基準や食品安全マネジメントシステムに則った形で大量生産が行われ、製品はパッケージングを経て依頼主のもとへ納品されます。流通や販売は依頼主が担うため、OEM製造はあくまで「裏方」の存在でありながら、製品の品質に大きな影響を及ぼす重要なポジションであることが分かります。

OEM食品のメリットとは?中小企業や新規参入者にとっての利点

OEM食品を活用する最大のメリットは、製造設備への初期投資が不要であることです。食品製造には衛生設備、温度管理、品質管理、物流まで多岐にわたる要素が関係しており、これらをゼロから整備するのは非常に高額な費用がかかります。OEMであれば、既に設備の整った専門業者に製造を委託することで、初期コストを大幅に抑えることができます。

また、製造のノウハウがなくても、自社ブランドの食品を世に出せるという点も大きな魅力です。企画力や販売力に優れているが、製造工程に関する知識がないという企業でも、OEMを活用することで市場参入が可能になります。

さらに、OEMを使うことで商品開発のスピードを加速させることもできます。専門の製造業者には、既に蓄積されたレシピや製造技術があり、それらを活用することでゼロから開発するよりも短期間で商品化できるケースが多く見られます。これは、時代のトレンドを素早く取り入れて商品を出す必要のある現代の食品業界において、大きなアドバンテージとなるでしょう。

OEM食品のデメリットとリスクは?知っておくべき現実

一方で、OEMには注意すべきデメリットやリスクも存在します。まず挙げられるのが、製造のコントロールが難しい点です。委託先の製造業者が自社の希望通りに動いてくれるとは限らず、品質に差が出たり、納期に遅れが出るケースもあります。特に繁忙期には他社の受注と重なり、スケジュール調整が難航することもあるでしょう。

また、商品がヒットした場合でも、製造を全て他社に依存していると、自社に技術やノウハウが蓄積されにくいという課題もあります。長期的に見ると、自社独自の製造力がないことは競争力の低下につながる恐れもあります。

さらに、OEM先の企業が廃業したり、経営方針の変更により製造を打ち切られたりする可能性もあります。そうなると安定供給が難しくなり、最悪の場合は事業自体の継続が困難になることもあり得るのです。

OEM食品を依頼する際の注意点と選定のコツ

OEM食品を成功させるためには、製造業者の選定が何よりも重要です。まず確認すべきは、食品衛生法に則った適切な製造体制が整っているかどうかです。HACCP対応の有無や、製造ラインの清潔さ、異物混入対策などは必ずチェックしておきたい項目です。

次に、コミュニケーションの取りやすさも大切なポイントです。自社の要望をしっかりと理解し、それを具体的な形に落とし込んでくれるOEM先であれば、安心して任せることができます。また、開発力が高い業者であれば、企画段階からアイデアを出してくれるケースもあり、パートナーとしての価値が高まります。

さらに、価格だけで決めないことも重要です。安さを重視するあまり、品質の低い製品になってしまっては、ブランドの信頼を損なう可能性があります。試作品の段階でしっかりと品質を見極め、納得のいく製品が仕上がるまでは妥協しない姿勢が求められます。

まとめ

OEM食品は、食品業界における新たなビジネス展開を可能にする有効な手段です。初期投資を抑えながら自社ブランドの展開ができるという点で、特に中小企業や新規参入者にとって大きなメリットを持っています。一方で、製造を外部に依存するリスクや、品質管理の難しさといった課題も存在するため、OEM先の選定には細心の注意が必要です。

今後も消費者ニーズがますます多様化していく中で、OEM食品の需要はさらに拡大していくことが予想されます。信頼できるパートナーと手を組み、自社のビジョンに合った製品を提供することで、食品業界において独自のポジションを築くことができるでしょう。OEMをただの外注手段と捉えるのではなく、戦略的なパートナーシップとして活用することが、これからの時代における鍵となるのです。

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